アイデアを真似された日が、“分かち合う人生”の始まりだった

「私のアイディアが、そのまま使われてる……?」
あの日、営業に持ち込んだ提案を、別の名前で形にされているのを見たとき、胸の奥がひんやりと冷たくなったのを今でも覚えています。
悔しさ、戸惑い、自信喪失。
そして、「どうして私はこれをやっていたんだろう?」という根本的な問い。
でも、今思えば、あの日が“分かち合う人生”の始まりでした。
2010年、私は育児のために一度キャリアを手放しました。
「子どもの成長を見守ること」と「自分らしく働くこと」は両立できるのか? そんな葛藤の中で生まれたのが、名入れ刺繍入りのレッスンバッグやベビーリュックを手作りするブランド——Ethen&Co.でした。
ひとつひとつの製品には、わが子への想いや、誰かの“初めて”を応援したいという気持ちを込めました。
そんな想いを持って営業活動をしていたある日、ある取引先に提案したアイディアが、数ヶ月後にそっくりな形で別の商品として出ていることに気づきました。
「悔しい」「裏切られた」
——そんな感情と同時に、「自分の中にある知識や経験を、どうすれば誰かの役に立てられるのか?」という問いが芽生えたのです。
そこから私は、発想を180度転換しました。
“守る”のではなく、“共有する”。
それは、「アイディアを盗まれないようにする」ではなく、「堂々と渡しても、自分の価値が揺らがない状態をつくる」という生き方へのシフトでした。
私はその後、教育やキャリア支援の分野に進みました。
自分の経験を必要とする人に届け、共に成長し合える関係を築くことが、何よりもやりがいに感じられたからです。
あの日の悔しさがなければ、今の私はいなかったかもしれません。
でも、今ははっきりと言えます。
誰かに真似されるほど、価値あるものを持っていたこと。
そして、それを“分かち合う”ことでこそ、自分の力が活かせる場所にたどり着けたということを。
あなたの中にも、きっと誰かの役に立つ経験があります。
それをどう使うか、どこで届けるかを考えることが、人生を豊かに変えていくのかもしれません。
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